■人生をプロジェクトにする

将来がどうなっていくのか不安でたまらない人が増えています。「自分はこの先、順当に人生を送れるのだろうか」「このままでは、新しい時代についていけないのではないか」。
 
私たちを取り巻く環境はめまぐるしく変わっています。人口減少・高齢化で世代間格差が広がる。AI・ロボットが仕事を奪う。女性の活躍で中高年男性の既得権が失われる。年功序列制度が終わりに向かう。手付かずの分野でも業界再編が進む・・・。
 
様々な変化の中でも、私たちを揺るがす最大の変化は人生が長くなったことです。「人生の長期化」という大きなプレゼントをどう享受すればいいのか――その答えが見えません。
 
政府は、2020年以降を日本の「第二創業期」と位置付け、4月に「人生100年時代の制度設計特命委員会」(委員長:茂木敏充政調会長、事務局長:小泉進次郎)を立ち上げました。
 
小泉進次郎氏は、昨年10月早稲田大学講堂で、「人生100年時代に向かっている日本では、現在9歳の子供の50%が100歳まで生きます。戦後の高度成長期に作られた今の社会保障制度では長くて多様な人生に対応できません」と発言しています。
 
怖くもありますが、私たち個々人も、ここは勇気を出して、人生の再設計に取組みます。長生きリスク不安を解消すれば、派生する他の不安はドミノ倒しで解決していくはずです。
 
そこで、皆さんにご提案します。人生プロジェクトを立ち上げませんか。
それに当たり、2つのポイントを押さえてください。
 
1.生涯の一大プロジェクトにする
人生を一大プロジェクトと捉えて、戦略的思考で取組みます。プロジェクトの目的は一つ――「いい人生だった!」と最期に思えることです。この目的を判断軸にすることで、決断や行動がスムーズになり、やりたいことやどう生きたいのかも見えてきます。
 
2.目的を達成する考え方を持つ
達成する秘訣はたった一つ――達成するまでやることです。Plan(計画)・Do(実行)・Check(フィードバック)・Action(修正実行)を繰り返せば、失敗という考えがなくなります。達成するまで修正してやり続ければいいのです。
 
これから1年間取組めば、将来展望が開けてくるはずです。2017年を自分の「第二創生期」スタート年と位置付けてみませんか。
 
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■十八番勝負を取り切れる人生戦略

前回、今年80歳になる男性を事例に、私たちの「上の世代」の人生模様を検証しました。参考になったでしょうか。今回は、十八番勝負を取り切れる人生戦略を図にしてみました。
 
なお前回の結びに、事例男性と同年の人たちを挙げましたが、「元氣な人:2割」「医療・介助生活の人:6割」「既に亡くなった人:2割」の構成になっているようです。
 
その元氣組に入っている森喜朗元首相は現在、仕事と医療生活が共存しています。最近出された『遺書』(幻冬舎、2017/4/20発行)で、「私は今、2つの死の恐怖と闘っている。一つはがんであり、一つは小池都知事の刃だ」と書いていますが、なんとも壮絶な晩節です。
 
このがんも生活習慣病の一つです。女性の46%、男性の62%がなる国民病で、「医療生活」の代表例です。
 
なぜ、こんなにがんが増えているのでしょうか? 
明解な理由があります。長生きするようになったからです。体内にできたがん細胞は20年以上かけてがん(悪性新生物)になりますが、ひと昔前の人生70年時代では、がんになるまでに亡くなっていたのです。
 
また、認知症と寝たきりは「介助生活」の代表例です。どちらも生活習慣病の一種で、増えている理由も長生きするようになったからです。
 
ではなぜ、医療テクノロジーはこれだけ進化しているのに、がん・認知症・寝たきりを治せないのでしょうか?
 
それは、生活習慣病だからです。現代の医学・医療技術は延命治療や対症療法はできても、根本的に治すことは難しいのです。
長い年月をかけてなる生活習慣病(=生活習慣の病気)は、生活習慣(=思考習慣・行動習慣・食習慣)を変えることでしか治せないからです。つまり、生活習慣は自分で変えるしかないのです。
 
75歳を超えると「医療・介助生活」になるのが現状です。私たちは、この“75歳の壁”を意識して、十八番勝負を取り切れる「体と脳の耐久力」を長期戦略で身に付けなければなりません。
 
WHO(世界保健機関)は、医療・介助生活の期間のことを「延命期間」と表現し、「長期にわたり、いつ終わるか分からない」と指摘します。なんとも皮肉な言い方です。
 
でも、長期の医療・介助生活を経て亡くなる人生なんて真っ平ごめん。いい人生は最後の5年で決まる――「終わりよければ全て良し」です。
それを目指すための方法は次回の健康豆知識で掲載予定です。
 
 
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■人生は十八番勝負だった!

 「上の世代」(戦前・戦中生まれ)の多くの人たちが、長くなった人生の途中で、医療・介助生活に入っています。この事態を反面教師とするために、1937年(S12)生まれ、今年80歳の男性を事例に検証してみます。下の図をご覧ください。

 

さて、14日から大相撲五月場所が始まります。稀勢の里の復調具合、弟分高安の大関取りなど、見どころ満載です。そこで、事例に挙げた男性の人生を十五日間の大相撲になぞらえてみました。

 

彼はわが人生75年と考えたので、一日は5年に当たります。十二日目を終えた時点(55歳、当時の定年)で七勝五敗。納得できる成績でした。十三日目は何とか勝ったのですが、十四日目(65歳)から体力・脳力がつるべ落としに低下して連敗。それでも八勝七敗で勝ち越しました。ひと安心です。

 

ところが、千秋楽を告げるはね太鼓が鳴りません。十六日目があったのです。しかし、土俵に上がる体力・気力は残っておらず勝負を棄権。不戦敗で八勝八敗に。途中休場すると、取組から除外されます。しかし、人生は十七日目へ続きます。

 

人生90年と考えると、最初から十八日間、十八番勝負で組み立てられます。45歳で十日目、60歳で十三日目、70歳で十五日目。十五番取り終えて、七勝八敗の負け越しであっても、あと三番あります。ここからが正念場なのです。

相手は疲労困憊、満身創痍かもしれません。土俵に上がり続け、やり抜けば十勝も可能です。それに、もしかしたら十九日目を迎え、十一勝するかもしれません。

 

人生、最後は体力勝負です。中日(なかび)を過ぎた45~60歳の期間に、「体と脳の耐久力」を1ランクアップさせて、長丁場対応にしたいものです。

 

参考:1937年生まれの有名人(敬称略)

○現役では、加山雄三、伊東四朗、笑福亭仁鶴、浅井慎平、平尾昌晃、コシノヒロコ、養老孟司、桐島洋子、森喜朗、河野洋平がいます。元氣組です。同年全体の2割でしょうか。

○既に亡くなった方では、江利チエミ(45歳没)、美空ひばり(52歳没)、小渕恵三(62歳没)、小林千登勢(66歳没)、阿久悠(70歳没)、稲生和久(70歳没)、緒方拳(71歳没)、横沢彪(73歳没)、杉原輝雄(74歳没)・・・。

 

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