■戦後世代に訪れた転換期(中篇)

 

時代の転換期に直面している現役フロントランナーの40代・50代は、新しい時代に生きる自分の姿を長期的に描いて、「1枚目のドミノ」を倒すことが大切です。

 

しかし残念ながら、多くの人の反応はいま一つ。どこか他人事のようです。時代が転換するまで時間も掛かるし、転換後の時代に生きるのは、自分たちではなく次の世代だと思っているのでしょうか?

 

現実を再確認するためには、未来への時間軸を持つべきだと思います。あなたが45歳で、「70歳ぐらいまで働ければいいな」「85歳ぐらいまで生きられたらいいな」と思っていたら、将来後悔することになりかねません。

 

85歳になるのは40後の2057年です。95歳まで生きるのが当たり前になっているでしょう。「先進国の寿命は15時間伸びていて2045年には百歳になるだろう」というのが世界的な予測です。

 

そして、70歳になるのは25年後の2042年です。75歳(あるいは80歳)まで働くのが当たり前になっているでしょう。一旦そうなると、「60歳定年とか65歳まで再雇用なんていつの時代の話?」とすぐ切り替えるのが日本人の特性です。急速に常識は変わります。

 

社会が大きく変わっていく今の時代では、「未来の姿を見通し、そこから今を考える」ことが大切です。

 

次に大切なのは、「人生の軸を持つ」ことです。

例えば、「いい人生だったと最期に思える」ことを人生の軸にして、これに照らして、これからのあらゆる選択肢や行動を決めていきます。社会がどう変わろうと、この判断軸を持っていればブレることはないし、後悔することもありません。

 

今、あなたは、95歳までの人生シナリオをどのように描きますか?

 人生は後半戦の良し悪しで決まります。そこで、後半戦を4枚のドミノで考えてみます。1枚目は「45から60歳」。2枚目は「60から75歳」。3枚目は「75歳から」。その期間終了後に、それぞれのドミノを倒します。最後の4枚目は「ゴール」です。

 

何歳でゴールを迎えるかは誰も分かりません。95歳、ひょっとすると百歳かもしれません。何歳であれ、最後のドミノを自力で倒して、「いい人生だった!」と思えることが目指す姿です。

 

そうなるために、「3枚目はどんなドミノを倒したいのか?」「では2枚目はどうなのか?」と考えていきます。そうすると、倒したい最初の1枚の姿が見えてきます。連鎖の起きる1枚目のドミノをきちんと倒せば、確実に最後のドミノを倒せます。

 

次回、後篇ではそれぞれのドミノの内容を考えます。

 

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■戦後世代に訪れた転換期(前篇)

 

私たち戦後世代は、明治維新、敗戦に続く第三の転換期を迎え、「生き方を変えなければ生き残ることができない」という事態に直面しています。

 

明治改元は149年前です。富国強兵をスローガンに、日本近代化の幕を開けました。

前半33年を江戸時代、後半33年を明治維新の時代に生きた福沢諭吉は、66年の生涯はまるで違う2つの人生だったという意味の「恰(あたか)も一身にして二生を経るが如く」という言葉を残しています。

開国・維新を機に、研究分野を漢学・蘭学から英学へ転換したように、情勢判断と変わり身の早さが功を奏したようです。

  

敗戦は72年前です。焼け野原からの再出発。スローガンは経済成長でした。

官民一丸となって、貿易立国に向かって、一次産業から二次産業へシフトチェンジです。

産業界は新卒者を大量採用、終身雇用で生活を保障することで、高度経済成長を達成しました。そして「昭和の標準モデル」が出来上がりました。

 

男性は、新卒で就職、結婚して家族を養い、定年まで勤め上げ、あとは余生。女性は、新卒で就職、寿退職して家庭に入り子供を育て、定年まで夫を支え、添い遂げる。

 

20年学び、40年働き、10年の余生」という昭和の標準モデルを、多くの日本人は迷うことなく送ってきましたが、1980年代から始まる少子高齢化、1990年代初頭のバブル崩壊で「失われた20年」に入る一方で、人生70年が80年になり、この標準モデルは崩れていきました。

 

そして国は、長い低迷期に終止符を打ち、2020年からを戦後日本の「第二創業期」として、国のかたちを作り変えようとしています。その青写真から見えてくるのは次の5つです。

 

1.目指す社会:「出る杭を打つ」から「出る杭を伸ばす」社会へ

 

日本人のメンタリティや意識を変えることで、多様な人材、異能な人材がその潜在力を発揮できる社会に転換する。

 

2.働き方変革:「終身雇用(会社人材)」から「多様な働き方(社会人材)」へ

 

昭和の標準モデル(一直線のレール型)を払しょくして、人生100年を見据えた新たな人生モデル(網状のネット型)を個々人が作り上げる。

 

3.大学の大改革:「平均的に質の良い人材(新卒人材の育成機関)」から「多様で柔軟な人材(学び直して何度もチャレンジできる人材の養成機関)」へ

 

非連続的な技術革新で産業構造が短期に大きく変わる時代では、雇用も不安定になるし、身に付けたスキルも陳腐化する。そのため、いつでも学び直し、何度でも新しいことにチャレンジする人材になる。

 

4.経済成長:「製造業のキャッチアップ(モデルがあった時代)」から「自前で技術革命(AI×ロボットで勝負)」へ

 

日本が得意なのは、ハード×ソフト、日本×海外の融合であり、特にAI×ロボットの分野でチャンスを見出していく。AI×ロボットの組み合わせは単純作業はもちろん、より複雑な仕事も代替できるようになるので、人口減少を強みに変える逆転の発想を可能にする。

 

5.社会保障:「公助(国におんぶにだっこ)」から「自助(自己責任・自己負担)」へ

 

高齢者への年金と医療介護の給付が肥大化し、世代間格差が広がっている。人生100年に向かう中で、長生きがリスクにもなっているので、健康で長く働くことを奨励し、長生きリスクの解消と医療介護費の圧縮を目指す。健康に対する意識変革と自助努力を求め、健康保険制度の自己負担率も見直す。

 

さて、大きな転換期に直面する40代・50代の現役世代はどうすればいいのか。次回は3回シリーズの2回目、中篇です。

 

 

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■「やりたいこと」をやって生きる

  

人生、何が幸せかといえば、「やりたいことをやる」「好きな仲間と」「いつまでも」ということではないでしょうか。やりたくてやるのだから、没頭できるし、飽きることもないし、とにかく楽しい。
 
そして、これからは、やりたいことを仕事の中に見出していかないと、生き残れないかもしれません。というのは、AI(人工知能)やロボットが飛躍的に進化して、人がやっている仕事の半分を持っていくからです。
 
2013年オックスフォード大学のオズボーン準教授が「雇用の未来」という論文を発表し、AI・ロボット脅威論が広まっています。その後2015年に、日本でも野村総合研究所がオズボーン準教授と組んで同様の分析を行いました。
2人に1人が仕事を失う未来がすぐそこまでやって来ているのです。
 
でも視点を変えれば、AIやロボットが持っていくのは、人が「やりたくない」「煩わしい」と思っている仕事からです。そんな仕事を代わりにやってくれるのだから、有難いことです。
言い換えれば、私たちは「やりたいことを仕事にする」という時代のキーワードを意識して、これからの仕事人生を考える必要があるということです。
 
もう一つ、仕事人生を考える上での大きな変化があります。それは、「75歳(あるいは80歳)まで働く時代」が迫ってきているということです。
そのうち、高齢者は75歳からと再定義されるでしょうし、そもそも「年齢のことを気にしない時代(年齢フリーの時代)」になろうとしています。
 
そこで、40代・50代の皆さんに提案したいことが2つあります。
 
1.「やりたいこと」をあぶり出す。なければ、作っていく。
仕事にできる「やりたいこと」があれば、すぐチャレンジしましょう。現在の会社でやれるのであれば良し、どうしてもやれないのであれば転職か起業を考えるべきです。やりたいことを仕事にできるチャンスを先送りするのはもったいないです。
 
「やりたいこと」はあるけど、スキル不足等でまだ仕事にできそうにないのであれば、今から準備することです。平日の夜や休日を有効活用することです。
 
「やりたいこと」がなければ、これから改めて、色々なことに興味を持ち、知らないことを知り、やりたいことを見つけることです。現在の仕事の中からも見出すことは可能です。嫌だなという思い込み、面白くないという先入観を取り除き、他人事の要素を取っ払って自分事(起業家精神)に切り替えれば、再評価や新たな発見ができるはずです。
 
2.これから20年のシナリオを考えてみる。
45歳であれば65歳までの、55歳であれば75歳までの仕事人生です。ざっと大ぐくりのシナリオを描き、それを実行しながら書き直していけばいいのです。20年というスパンで考えれば、「やりたいこと」が射程内に入ってきます。
 
20年後の自分と対話できれば、そこに向かうための工程表が浮かび上がってきます。そうなると、会社や世の中を見る視点、今後の仕事人生の視野がこれまでとは違って見えるのではないかと思います。
 
定年や転職という転機は、誰にもやって来ます。そんな「人生の儀式」を段取りよく、気分良く執り行うためにも、シナリオ作りに取り掛かってください。早ければ早いほど選択肢が増えますし、自分の描いたシナリオで生きる面白さも早期に味わえます。
 
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