■三本柱を回転させる

「人生をどう生きていくのか」ということを、自分に改めて問う時代になっています。人生が想定以上に長くなったため、この問いは10代の専売特許ではなく、成熟した大人たちの間で問い直さなければならないものです。

 

とりわけ人生の後半戦に入った40代後半や50代は、時代に取り残されないためにも、今すぐ、自分の生き方や働き方を見つめ直さなければなりません。

 

人生の中間点を折り返しても、いまだに他者との比較や競争によって、満足感や幸福感が左右されているようでは、『第一ピラミッド』の下山で遭難しかねません。

 

でも逆から見れば、他者と比べたり、張り合うという考え方から脱皮して、爽快に生きることを目的とする価値観を身に付ければ、自分自身の価値観で満足や幸福を味わえるということです。他者との比較ではなく、自分が主人公となって、真に人生を楽しめるのです。

 

そのために必要なのが、下記の三本柱です。この三本柱を回転していかなければ、後半人生を爽快に生き抜くことは難しいと思います。

 

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では、いかにして、学び直す力,、自ら変わる力、没頭する力を身に付ければいいのか。40年、50年もの時間をかけて今の自分があるので、そう簡単には変われそうもない。それに、三本柱を繰り返し回転させないと、力は磨かれません。そこにジレンマがあります。

 

そうなると、それほど遠くなく、何度も通えるセミフォーマルな「学びの場」、気楽に関われ、個別相談もできる「インストラクター・メンター」、ディスカッションし、切磋琢磨し合える「仲間」が欲しい。でも、どこにもありません。

 

やはり自分で、必要な知識を集めたり、対話できる仲間を募ったり、メンターになる人を探したりと、試行錯誤しながら前に進めていくしかないのです。

 

 

■なぜ「学び直し」が必要なのか?

人生100年時代の到来、つまり「人生の長期化」という潮流を受け、かつて60歳だった年金支給開始年齢は、段階的に65歳まで引き上げられています。

 

これが70歳、75歳に引き上げられていくのではないか、そうなると70歳、75歳まで働かなければならないと、おぼろげながら感じとっているビジネスパーソンが増えています。

 

この予感は当たっています。生きる期間と働く期間の長期化という流れは加速することがあっても、止まることはありません。「長く生き、長く働く」という新しい時代が始まっているのです。

 

この想定外の事態に直面して、将来不安に襲われているのが、古い時代の慣習や常識を色濃く持っている40代・50代のミドル世代です。気づくべきなのは、

 

1.時代が変わった
下山し、再登山する時代になった。この事態を知って、理解し、納得して、動く。意識と行動の変容を、追い立てられるのではなく、自ら起こすことが何よりも大切です。

 

2.自分軸を打ち立てる
時代が変わったからこそ、ブレない・変えることのない軸を持つ。新しい時代に通用する人生観と戦略を持ち、わが人生を経営する軸を打ち立てることも大切です。
 

まず40代・50代が自分に問うべきなのは、「現在の会社や組織で、70歳、75歳まで働くことができますか?」ということ。そして「その後も、最後まで、わが人生を楽しめますか?」ということ。

 

自信を持って「大丈夫!」と言えないのであれば、「学び直し」をして、自分を立て直すことが必要です。

 

ところが、この必要性に気づいていない人、まだしばらくはこのままでいけるんじゃないかと思っている人、うっすら気づいてはいるがそこから逃げている人、どうすればいいのか分からず途方に暮れている人が多いのが現実です。

 

このような「昨日の延長で今日を過ごしている人」が、うまく下山できず、訳の分からないところに迷い込んだり、ガクッとへたり込むといった状態に陥っています。

 

 

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100年ライフ、一身二生の時代を迎え、これからは、
一つの会社や組織で、一つの学びや技能で、一生食べていくことはできません。
体と脳をバージョンアップしないと、長くなった人生を完走することはできません。

これは誰もが向き合わなくてはならない問題です。

 

学び直しの目的は、「時代を掴む」こと、「自分を取り戻す」こと、「自ら変わり、自分を立て直す」ことです。新しい時代の中で、自身のライフデザインを描き、わが人生を全うする方向へ意識と行動を向けることです。

 

戦後から長く続いた、ひとつの時代は終わったのです。そしてほんの少し前の古い時代では、学び直しなんてことさら必要ありませんでした。そのため誰も、学び直しを教わっていないし、また教えてくれる専門家もいません。

 

新しい時代のフロントランナーとなった40代・50代は、学び直すことを試行錯誤しながら、先頭に立ってやっていくしかないのです。

 

どのような知識や戦略を持ち、どんな能力や人生観を身に付けていけばいいのか。私も、皆さんと同じように、自ら「学び直し」をしていく中で、模索し、そして提言していきたいと思っています。

■第二ピラミッドが見えてますか?

団塊ジュニア世代(1971から1974年生まれ)も、もうすぐ50代。『第一ピラミッド』を完成させる目途をつけ、次の『第二ピラミッド』を準備する時期です。

 

『第一ピラミッド』を完成させるというのは、現在の会社員生活を全うするということ。75歳まで働く時代では、役員や社長を目指す一部の人は別として、会社員生活の頂上に達したことを認識し、新たな役割や存在意義を自ら打ち出して、現在の山を積極的に下りることが大事です。

 

その際のキーワードは、「起業家精神」と「お役立ち精神」です。

 

1.起業家精神
就職氷河期や失われた20年を生き抜いてきたのですから、今の会社のなかで、フリーランス(個人事業主)の感覚で、新規事業、他者との協業、M&Aなど、新しいビジネスを作れるはずです。例えば、教育やヘルスケア、エネルギーや農業といった既存の分野でも、新たな視点で見れば、未来価値はとても大きいのです。

それにフリーランスになったり、起業することだって可能です。

 

2.お役立ち精神
後進を指導するという上から目線や、年下の者に使われたくないという気持ちは捨てて、後進の参謀や脇役に徹する。組織の端から全体を見渡してみる。これまで培ってきた経験や知識を使ってお返しをするという意識が持てれば、現業の深堀り、取引先との関係強化、生産性の向上、不正の防止、働く環境の整備など、役に立てる仕事はいくらでも見出せます。

それに70歳、75歳まで働ける職場に転職することだって可能です。

 

このいずれかを追求していけば、『第一ピラミッド』のふもとが見えると同時に、『第二ピラミッド』の登り口も見えてきますし、次の山は今よりも大きいことが分かってきます。

 

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『第二ピラミッド』は価値観のまったく異なる別の山。60歳からは一身二生、2度目の人生です。自分流、自分オリジナルの人生にしたいものです。期間は35年と長いのですから。

 

というのも、60歳時点の平均余命(2016年)は男性23.7歳(83.7歳)/女性28.9歳(88.9歳)ですが、余命の伸びしろを計算に入れると、男女とも95歳と考えたほうがいいようです。なにせ平均余命は、これまで70年間、1年で0.4歳ずつ伸びてきたのですから。

 

そして、長丁場になった人生では、「終わり良ければ全て良し」が金言となります。

 

95歳のゴールを気分良く迎えるためには、

最晩年の5年(90から95歳)を健康に穏やかに過ごす。

収穫期の15年(75から90歳)をGOLD AGEとして存分に謳歌する。

充実期の15年(60から75歳)を職業人生の仕上げとして自分流に社会と関わる。

 

基本となる考えは、「人間究極の仕事は最後までしっかり生きること」です。

だから、思い通りの結果や大きな報酬が得られなくてもいいのです。ひたむきに最後まで生き、生きることそのものを楽しむことが大切なのです。

 

この精神で、これからの人生を描いてみてはいかがでしょうか。人生、苦ありゃ楽もある。厳しい状況を生き抜いてきた団塊ジュニア世代には、楽しい善き人生を作り出せると思うのです。