■年齢フリーの社会に向かっている

私たちミドル世代は、ジェットコースターのような世の中を生きています。

 

●上り坂(人口増加)――2008年まで

人口が1億人を突破したのが1966年、前回の東京五輪の2年後です。日本人全体の平均年齢も29歳と若かった。そして1億2809万人を記録した2008年まで42年かけて、2800万人増えました――この「上り坂」(人口増加)を前提として、現在の社会保障制度やビジネスモデルは組み立てられました。

 

●下り坂(人口減少)――2008年以降

そしてまた、2008年からほぼ同じ年月をかけて、2053年に1億人に戻ります。2800万人、東京都の2倍以上の人口が消えてなくなるのです ――私たちは「下り坂」(人口減少)を生きていかなければなりません。現在の社会保障制度やビジネスモデルは、下り坂を前提として組み立て直しをすることを迫られています。

 

「上り切って、そして下る」という極端な世の中を生きているのですが、もう一つ際立っているのが、同じ1億人でも、65歳以上の比率が前回の6.6%から、38%に向かうということです。今でも80歳以上が1102万人という超高齢社会です。

 

このように異次元の「人口減少」と「高齢化」が進んでいて、この背景のもと、年齢を問わない・問われない“エイジレス社会”(Ageless Society)に向かっているのです。

 

国も、「高齢社会対策大綱」のなかで、年齢で区別することなく、何歳であろうと、意欲と能力を発揮して活躍できる“年齢フリーの社会”を目指すと標榜しています

 

副業・兼業の普及、社会人“学び直し”の奨励、イデコなどの私的年金の普及、健康寿命の延伸と認知症サポーターの拡充に取組んでいます。 

 

認知症については相当な危機感を持っているのか、認知症サポーターを880万人(2016年度末)から1200万人(2020年度末)に増やす予定です。

 

ところが健康寿命の延伸についてはまるで自信がないのか、現在の男性71.19歳/女性74.21歳を2020年までに1年延伸、2025年までに2年延伸と控えめな目標です。人生100年時代のなか、これでは焼け石に水。もっと私たち自身が、自分事として、健康に長く生きることに精力的に取組まなければなりません。

 

そこで思い起こされるのが、サムエル・ウルマンが70代で書いた『青春』です。ドイツ系ユダヤ人の彼は、差別を逃れて両親と共に1851年、11歳の時にアメリカに移住。南北戦争で戦うという経験を経て、ビジネスマン、詩人、人道主義者として名を成しました。


「Youth is not a time of life;it is a state of mind」(青春とは人生のある期間ではなく、心の持ちかたをいう)のフレーズが有名ですが、かのダグラス・マッカーサー(1880-1964)がこの詩をことのほか気に入り、東京の総司令官室の壁に掲げていたそうです。

 

それはともかく、今の時代にこそマッチした内容であり、人生の応援歌です。

 

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人口が減り続ける「下り坂」は避けて通れない道です。でもそんな時代だからこそ、若々しく、そして大らかに生きたいものです。

 

年齢を重ねるにつれ、“生理的老化”は避けられませんが、もう一つの“病的老化”は避けられます。健康リテラシーを身に付けて実行・継続することで、健康寿命を寄せ付けないことを目指します。

 

さらに社会の課題、ITリテラシ―、人間学や歴史など、さまざまなことを学び直して、自ら年齢に制限を設けることなく、社会に参画し、自分なりの役割を果たしていくことを目指します。

 

生きている限り、健康にも役割にも寿命はないのです。 

■異次元の社会に変貌していく

私たちが生きている間は、人口減少と高齢化のトレンドは止まりそうにありません。1966年に1億人を突破して、2008年には1億2809万人(ピーク)になりましたが、それから減り続け、2053年に1億人を割ってしまいます。

 

しかし同じ1億人でも、中身がまるで違います。総人口に占める65歳以上の割合(=高齢化比率)は、1966年はわずか6.6%でしたが、2053年には38.0%です。

 

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ついに80歳以上が1000万人を超えました。人口減×高齢者増のトレンドに、「人生長期化」のトレンドが加わり、高齢化比率および高齢者の絶対数は上記の図よりも上振れすることが見込まれます。

 

そのため、高齢者はもはや65歳からではなく、「75歳から」とか、あるいは「80歳から」にと、定義を変える必要性とその緊迫度がますます増しています。そうしないことには社会は成り立たないのです。

 

つまり、70代になっても現役で頑張らないといけない時代が迫っているのです。現在のような「60歳定年、65歳まで再雇用で働く」といった意識では、時代の流れに到底付いていけません。

 

例えば12年後の2030年には、あなたは何歳になっていますか? そしてどこで、何をして働いているでしょうか?

 

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人生100年時代が到来し、今の若者世代にとっては100年人生です。そして私たちミドル世代は95年人生―― 60歳からの35年を爽快に生き抜くための “指標” が見えてきました。

 

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人口が減るなかで、「3人に1人が65歳以上」「7人に1人が80歳以上」という異次元の社会に変貌していきます。こういった流れに立ち向かうには、相当な覚悟と戦略を持たなければなりません。

 

私たちはこれからどんな道を歩んでいくのだろうか? いずれの道を歩むにせよ、「漫然と迎える近未来」には身体的・精神的・社会的にも乏しい人生が待ち受け、「主体的に築く近未来」には経済・健康・交流に恵まれ、豊かな人生が待ち受けているように思われます。

 

何処に向かい歩むかは自分たち次第なのです。

■後半戦を尻上がりに生きる

ひと昔前の人生70年時代は、定年を迎えたら、あとは悠々自適の余生でした。ところが現在は、21世紀に生まれた10代の若者は100歳まで生き、22世紀を自分の目で見るという人生100年時代。例えば余生を20年とすれば、「80歳まで働き、100歳まで生きる」人生となります。

 

技術革新は益々速くなり、AI化もどんどん進展し、昔取ったきねづかで一生安泰な仕事が得られた時代は遠い昔のこと。「教育、労働、余生」という従来の人生ステップも一般的ではなくなっていくでしょう。

 

そういった状況に向かうなか、10代の若者の親世代に当たる、40代・50代のミドルには、「75歳まで働き、95歳まで生きる」人生が待ち受けています。もはや60歳定年は、後半戦に入ってからの単なる通過点となり、その前に「55歳の壁」、そのあとに「65歳の壁」と「75歳の壁」が立ちはだかっています。

 

これら三つの壁をどう乗り越えるか?―― ミドル世代にとっての大きな課題です。でも、いずれにせよ75歳まで働くのなら、多様な選択肢があるうちに、自分に合う働き方を早いこと見つけ、働くことそのものを楽しみながら、悠然と55歳の壁・65歳の壁を乗り越えたいもの。そうしないと損!というものです。

 

そう思うのであれば、今の時点で、「65歳になった自分は何をしているか?」を想像してみることが大切です。

どのような職場で、どんな仲間と、どういったことをしているのだろうか?

それは自分のやりたいことで、少しは世の中に役立つことなのだろうか? 

稼ぎは? 年金支給はいつから? パートナーは? 納得しているのだろうか?

 

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良い悪いは別にして、会社がキャリアの道筋を決めてくれる時代はもう終わっています.。ところが現在の制度や慣習は、もうすぐ時代遅れになる「65歳まで働く」人生に合わせたもの、これからの「75歳まで働く」人生には合っていません。

 

制度や慣習が整備され、大勢がシフトするのには時間が掛かります。でもまだ皆が動いていないからと、待っていては時代の渦に飲み込まれ、後半戦の人生航路に入った途端に座礁することだってあり得ます。

 

そうならないためにも、キャリアは自分で作るものという考え方に切り替え、40代・50代のうちに、「75歳まで稼げる」仕様に自分を作り替えることです。誰かの言う通りにすれば、皆と同じようにすれば何とかなった時代は終わったのです。

 

そして同時に、「95歳まで健康に生きる」仕様に作り替えることを意識しなければなりません。現在の “体と脳の耐久年数”(いわゆる健康寿命のこと) はざっと75年。たとえ75歳まで働くことができても、そのあとに待っているのが “医療・介助の生活” では、「何のための人生だったのか!」ということになってしまいます。

 

しかし体と脳の耐久年数を95年まで伸ばすのは至難の業。実現の決め手は、私たちを医療・介助の生活に引っ張り込む、20年以上かけて完成する認知症やさまざまな生活習慣病の芽を40代・50代の今のうちに摘んでしまうことです。

 

戦略と目標を持ち、やりたいこと&役立つことを意識して働きながら、95年仕様となる土台を築き上げ、75歳の壁を一気に突破。そのあとは1年更新で健康を作り、それを積上げて、95歳、あるいはそれ以上、人生を謳歌する。

 

このような尻上がり人生を目指しませんか。