■後半戦を尻上がりに生きる

ひと昔前の人生70年時代は、定年を迎えたら、あとは悠々自適の余生でした。ところが現在は、21世紀に生まれた10代の若者は100歳まで生き、22世紀を自分の目で見るという人生100年時代。例えば余生を20年とすれば、「80歳まで働き、100歳まで生きる」人生となります。

 

技術革新は益々速くなり、AI化もどんどん進展し、昔取ったきねづかで一生安泰な仕事が得られた時代は遠い昔のこと。「教育、労働、余生」という従来の人生ステップも一般的ではなくなっていくでしょう。

 

そういった状況に向かうなか、10代の若者の親世代に当たる、40代・50代のミドルには、「75歳まで働き、95歳まで生きる」人生が待ち受けています。もはや60歳定年は、後半戦に入ってからの単なる通過点となり、その前に「55歳の壁」、そのあとに「65歳の壁」と「75歳の壁」が立ちはだかっています。

 

これら三つの壁をどう乗り越えるか?―― ミドル世代にとっての大きな課題です。でも、いずれにせよ75歳まで働くのなら、多様な選択肢があるうちに、自分に合う働き方を早いこと見つけ、働くことそのものを楽しみながら、悠然と55歳の壁・65歳の壁を乗り越えたいもの。そうしないと損!というものです。

 

そう思うのであれば、今の時点で、「65歳になった自分は何をしているか?」を想像してみることが大切です。

どのような職場で、どんな仲間と、どういったことをしているのだろうか?

それは自分のやりたいことで、少しは世の中に役立つことなのだろうか? 

稼ぎは? 年金支給はいつから? パートナーは? 納得しているのだろうか?

 

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良い悪いは別にして、会社がキャリアの道筋を決めてくれる時代はもう終わっています.。ところが現在の制度や慣習は、もうすぐ時代遅れになる「65歳まで働く」人生に合わせたもの、これからの「75歳まで働く」人生には合っていません。

 

制度や慣習が整備され、大勢がシフトするのには時間が掛かります。でもまだ皆が動いていないからと、待っていては時代の渦に飲み込まれ、後半戦の人生航路に入った途端に座礁することだってあり得ます。

 

そうならないためにも、キャリアは自分で作るものという考え方に切り替え、40代・50代のうちに、「75歳まで稼げる」仕様に自分を作り替えることです。誰かの言う通りにすれば、皆と同じようにすれば何とかなった時代は終わったのです。

 

そして同時に、「95歳まで健康に生きる」仕様に作り替えることを意識しなければなりません。現在の “体と脳の耐久年数”(いわゆる健康寿命のこと) はざっと75年。たとえ75歳まで働くことができても、そのあとに待っているのが “医療・介助の生活” では、「何のための人生だったのか!」ということになってしまいます。

 

しかし体と脳の耐久年数を95年まで伸ばすのは至難の業。実現の決め手は、私たちを医療・介助の生活に引っ張り込む、20年以上かけて完成する認知症やさまざまな生活習慣病の芽を40代・50代の今のうちに摘んでしまうことです。

 

戦略と目標を持ち、やりたいこと&役立つことを意識して働きながら、95年仕様となる土台を築き上げ、75歳の壁を一気に突破。そのあとは1年更新で健康を作り、それを積上げて、95歳、あるいはそれ以上、人生を謳歌する。

 

このような尻上がり人生を目指しませんか。

■桑寿から始まる人生後半戦(2/2)

私たちの前に立ちはだかっている、「55歳の壁」「65歳の壁」「75歳の壁」をどうやって突破していくか?

 

■55歳の壁、65歳の壁=職業寿命
(1)75歳まで、あるいはそれ以上長く働きたいと思うのであれば、定年後に再雇用制度を利用すると、旬を過ぎてしまい、その後の選択肢が狭まり、リスクが高くなります。例えば65歳から別の仕事を探そうとしても、それまで不本意に過ごしてきた人を採用するほど、現実は甘くはありません。

 

(2)桑寿を迎えたら、これからは二度目の人生です。仕事人生も二度目と思って、働き方や仕事観をまるで変えてみます。フリーランサーの意識で働くとか、社内副業や兼業を始めるとか、好きな仕事に転職するとか、起業の準備を進めるとか、あるいは今の会社で役員になるとか、そういう見極めのある準備を行いながら、55歳の壁を乗り越えます。

 

(3)60歳までに、次の65歳の壁を突破する道筋を作り上げるのです。特に大手企業では、たとえ役員になっても75歳までは働けません。75歳、あるいはそれ以上働ける仕事観、スキル・能力を身に付け、長く働ける職場を見出して、65歳の壁を一気に乗り越えます。そうすると、この壁は思っているより案外低いはずです。

 

■75歳の壁=健康寿命
(1)健康寿命を伸ばす具体的な方法は『健康豆知識』に譲りますが、肝になる点があります。それは、健康寿命の足を引っ張っている三大疾患(がん・心臓業・脳卒中)や認知症といった生活習慣病は、20年以上の潜伏期間を経て発症する、つまり病気は発症の20年以上前から進行しているということです。

 

(2)そしてこれらの病気は、75歳前後に多く発症しているのが現実です。ということは、その20年以上前の桑寿を迎えた時から、健康リテラシーを学び、自分の習慣を見直し、積極的に防ぐことが、75歳の壁を乗り越える決め手になるということです。

 

ともあれざっくり言えば、現在の健康寿命は75歳、職業寿命は65歳です。そのため、「健康寿命を20年伸ばす」「職業寿命を10年伸ばす」ことが、私たちの前に現れた新たな課題です。

 

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48歳の桑寿を機に、「健康寿命+20年、職業寿命+10年」を意識し、ゴールまで自力で完走する戦略を考えます。人生航路は想定以上に長くなっているので、戦略を持たなければ、途中で座礁してしまいます。

 

そして、戦略を考えたり、それを納得するまで深めるには、どうしても「学び直し」が必要となります。

 

「時代を掴む」「働く意味や生きる意味を自分に問いかける」「自分の経験や知識を他社でも通じるように一般化したり、学問体系的に検証して整理する」―― つまり、自分を活かし、気分良く生き抜いていくための学び直しです。学校の勉強ではありません。

 

独学で、仲間うちで、あるいはメンターを囲んで数人のメンバーで、この学び直しを行います。大事なのは「何を学んで、何を手に入れるか」ということです。時代観、人生観、仕事観、パートナーシップ、新しい仲間、家庭や職場以外の居場所、長く働ける職場、ITリテラシー、健康リテラシー・・・。

 

そうすると、自分の強み、三つの壁を突破する方法、自分を支援してくれるものが鮮明に見えてきます。こうなればシメタもの。55歳の壁は低くなり、それよりも65歳の壁は低くなり、そして75歳の壁はもっと低くなって見えるはずです。  

■桑寿から始まる人生後半戦(1/2)

「75歳まで働き、95歳まで生きる」人生となり、私たちミドル世代の前に「三つの壁」が出現しています。

 

1.55歳の壁
大手企業の半数以上が導入している役職定年。55歳前後で、管理職でなくなる年齢= “管理職寿命” を迎え、実質的な降格、賃金の低下に見舞われます。モチベーションが低下した状態で、定年までの5年前後を無為に過ごしてしまうとどうなるか・・・。

 

2.65歳の壁
そして、ほとんどの企業が60歳の定年以降、65歳まで1年毎に契約更新する再雇用制度を導入しています。8割の人がこの制度を利用していますが、これまた賃金は激減し、仕事は生活のため仕方なくとなれば、モチベーションは下がる一方。こんな状態を65歳まで続けてしまうとすれば、どうなってしまうか?怖いものがあります。さらに75歳まで働くとなれば、その後10年間どうするのか・・・。

 

3.75歳の壁
三つ目の壁が、健康でなくなる年齢= “健康寿命” 。現在の健康寿命はざっと75歳ですので、たとえ75歳まで一所懸命働き抜いたとしても、その後に待っているのが20年にわたる  “医療・介助の生活” では、何のための人生なのか・・・。

 

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95歳人生では、48歳の桑寿が人生の折り返し地点、いわゆるピットポイントです。つまり、レーシングチームがピットに入って、タイヤ交換や燃料補給など、競技車両の整備を行って、後半レースに立ち向かうように、ここで立ち止まって、これまでの人生を棚卸しして、これからの人生シナリオを練り上げます。

 

この人生の儀式を行うかどうかで、後半人生の明暗が決まります。儀式のポイントは、私たちの前に、三つの壁が立ちはだかっていることを知り、これに立ち向かっていく意識を持つことです。そして、三つ目の壁を突破して、ゴールまで自力で完走するという意識を持つことです。

 

55歳の壁の次には、65歳の壁がある。そのまた次には75歳の壁がある。どうやって、三つの壁を突破していくか? 次のような考え方が有効ではないでしょうか。 

 

ーー次回2/2へーー