■なぜ「学び直し」が必要なのか?

人生100年時代の到来、つまり「人生の長期化」という潮流を受け、かつて60歳だった年金支給開始年齢は、段階的に65歳まで引き上げられています。

 

これが70歳、75歳に引き上げられていくのではないか、そうなると70歳、75歳まで働かなければならないと、おぼろげながら感じとっているビジネスパーソンが増えています。

 

この予感は当たっています。生きる期間と働く期間の長期化という流れは加速することがあっても、止まることはありません。「長く生き、長く働く」という新しい時代が始まっているのです。

 

この想定外の事態に直面して、将来不安に襲われているのが、古い時代の慣習や常識を色濃く持っている40代・50代のミドル世代です。気づくべきなのは、

 

1.時代が変わった
下山し、再登山する時代になった。この事態を知って、理解し、納得して、動く。意識と行動の変容を、追い立てられるのではなく、自ら起こすことが何よりも大切です。

 

2.自分軸を打ち立てる
時代が変わったからこそ、ブレない・変えることのない軸を持つ。新しい時代に通用する人生観と戦略を持ち、わが人生を経営する軸を打ち立てることも大切です。
 

まず40代・50代が自分に問うべきなのは、「現在の会社や組織で、70歳、75歳まで働くことができますか?」ということ。そして「その後も、最後まで、わが人生を楽しめますか?」ということ。

 

自信を持って「大丈夫!」と言えないのであれば、「学び直し」をして、自分を立て直すことが必要です。

 

ところが、この必要性に気づいていない人、まだしばらくはこのままでいけるんじゃないかと思っている人、うっすら気づいてはいるがそこから逃げている人、どうすればいいのか分からず途方に暮れている人が多いのが現実です。

 

このような「昨日の延長で今日を過ごしている人」が、うまく下山できず、訳の分からないところに迷い込んだり、ガクッとへたり込むといった状態に陥っています。

 

 

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100年ライフ、一身二生の時代を迎え、これからは、
一つの会社や組織で、一つの学びや技能で、一生食べていくことはできません。
体と脳をバージョンアップしないと、長くなった人生を完走することはできません。

これは誰もが向き合わなくてはならない問題です。

 

学び直しの目的は、「時代を掴む」こと、「自分を取り戻す」こと、「自ら変わり、自分を立て直す」ことです。新しい時代の中で、自身のライフデザインを描き、わが人生を全うする方向へ意識と行動を向けることです。

 

戦後から長く続いた、ひとつの時代は終わったのです。そしてほんの少し前の古い時代では、学び直しなんてことさら必要ありませんでした。そのため誰も、学び直しを教わっていないし、また教えてくれる専門家もいません。

 

新しい時代のフロントランナーとなった40代・50代は、学び直すことを試行錯誤しながら、先頭に立ってやっていくしかないのです。

 

どのような知識や戦略を持ち、どんな能力や人生観を身に付けていけばいいのか。私も、皆さんと同じように、自ら「学び直し」をしていく中で、模索し、そして提言していきたいと思っています。

■第二ピラミッドが見えてますか?

団塊ジュニア世代(1971から1974年生まれ)も、もうすぐ50代。『第一ピラミッド』を完成させる目途をつけ、次の『第二ピラミッド』を準備する時期です。

 

『第一ピラミッド』を完成させるというのは、現在の会社員生活を全うするということ。75歳まで働く時代では、役員や社長を目指す一部の人は別として、会社員生活の頂上に達したことを認識し、新たな役割や存在意義を自ら打ち出して、現在の山を積極的に下りることが大事です。

 

その際のキーワードは、「起業家精神」と「お役立ち精神」です。

 

1.起業家精神
就職氷河期や失われた20年を生き抜いてきたのですから、今の会社のなかで、フリーランス(個人事業主)の感覚で、新規事業、他者との協業、M&Aなど、新しいビジネスを作れるはずです。例えば、教育やヘルスケア、エネルギーや農業といった既存の分野でも、新たな視点で見れば、未来価値はとても大きいのです。

それにフリーランスになったり、起業することだって可能です。

 

2.お役立ち精神
後進を指導するという上から目線や、年下の者に使われたくないという気持ちは捨てて、後進の参謀や脇役に徹する。組織の端から全体を見渡してみる。これまで培ってきた経験や知識を使ってお返しをするという意識が持てれば、現業の深堀り、取引先との関係強化、生産性の向上、不正の防止、働く環境の整備など、役に立てる仕事はいくらでも見出せます。

それに70歳、75歳まで働ける職場に転職することだって可能です。

 

このいずれかを追求していけば、『第一ピラミッド』のふもとが見えると同時に、『第二ピラミッド』の登り口も見えてきますし、次の山は今よりも大きいことが分かってきます。

 

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『第二ピラミッド』は価値観のまったく異なる別の山。60歳からは一身二生、2度目の人生です。自分流、自分オリジナルの人生にしたいものです。期間は35年と長いのですから。

 

というのも、60歳時点の平均余命(2016年)は男性23.7歳(83.7歳)/女性28.9歳(88.9歳)ですが、余命の伸びしろを計算に入れると、男女とも95歳と考えたほうがいいようです。なにせ平均余命は、これまで70年間、1年で0.4歳ずつ伸びてきたのですから。

 

そして、長丁場になった人生では、「終わり良ければ全て良し」が金言となります。

 

95歳のゴールを気分良く迎えるためには、

最晩年の5年(90から95歳)を健康に穏やかに過ごす。

収穫期の15年(75から90歳)をGOLD AGEとして存分に謳歌する。

充実期の15年(60から75歳)を職業人生の仕上げとして自分流に社会と関わる。

 

基本となる考えは、「人間究極の仕事は最後までしっかり生きること」です。

だから、思い通りの結果や大きな報酬が得られなくてもいいのです。ひたむきに最後まで生き、生きることそのものを楽しむことが大切なのです。

 

この精神で、これからの人生を描いてみてはいかがでしょうか。人生、苦ありゃ楽もある。厳しい状況を生き抜いてきた団塊ジュニア世代には、楽しい善き人生を作り出せると思うのです。

■今の50歳は、40年前の35歳

バブル崩壊後の「就職氷河期」や「失われた20年」を経験した団塊ジュニア世代も、40代後半、まもなく50代に突入します。

 

少し上には、大量採用されたバブル世代がいて、なかなかポストにありつけない。少子化の影響で自分たちより下の世代の不足で、30代や20代の業務をカバーせざるを得ない。何と理不尽な・・・。

 

これから団塊ジュニア世代が50代になると、職場の高年齢化はますます加速され、50代が最大のボリュームゾーンに。どうなることやら・・・。

 

私が就職した1977年は、ほぼ20年続いた高度経済成長のあとでした。オイルショックや円高といった厳しい経済環境でしたが、それでも職場は、20代の若手、30代の中堅、40代のベテランが、バランス良く多く配置され、50代や60代は少なかった。

 

そのため終身雇用や年功序列がしっかり機能し、それなりに頑張れば、30歳手前で主任、30代半ばで課長補佐、40歳前後で課長になれました。

 

ところが団塊ジュニア世代は、そうはいかない。40代になっても名ばかりの肩書で、部下がいないとか、実質的にヒラ社員とそう変わらない。雑務が多いのに、数字だけはキッチリ追及される。

 

これでは、過労による健康障害や、ある日突然、通勤途上で倒れることにも。最近では、「健康経営」に力を入れる会社が増えていますが、内情は大変なのです。

 

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1977年から40年経ち、日本人の平均年齢は32歳から47歳に。人生の期間は、当時の70年から100年になろうとしています。まるで変わってしまった。

 

そして苦しい状況に置かれている団塊ジュニア世代のトップバッター(1971年生まれ)が47歳。つまり団塊ジュニア世代は、日本人のど真ん中であり、自分の人生のど真ん中。日本人の中心として、わが人生の本番を威風堂々と生きてほしい。

 

では、これからの人生をどう描くのか? どう仕事をして、どう生きていきたいのか。今が、自分に問いかける絶好のタイミング。あとに続く世代のためにも、存分に本領を発揮してもらいたい。

 

それに50歳は、40年前の35歳のようなもの。まだまだひよっこ。年齢観をまるで変えて、これからの時代を考えると、「95歳まで生き、75歳まで働く」ということが自分ごととして、腹に落ちてくる。

 

そうすると、『職業寿命+10年、健康寿命+20年』という達成課題が見える。課題が見えれば、解決方法に意識が向く。75歳になるまでどう働くか? 75歳から95歳までどう健康寿命を伸ばしながら人生を楽しむか? 最適解は必ずある。

 

時代を読み、想像力を発揮して、近未来の自分の姿を見る。そこに至るまでのロードマップを作り、目の前に拡がる道を整えていく。このような人が、人生の経営者だと思うのです。