■「健康経営」が広まってきた

経済産業省が「健康経営」(Health productivity)を強力に推進しています。

 

健康経営というのは、社員の病気予防と健康維持増進に投資して、それによって経営効果を上げることです。企業にとって5つのメリットがあり、投資額の3倍のリターンが見込めると経産省は言います。

 

(1)労働生産性の向上・・・欠勤率や労災リスクが下がる
(2)医療コストの削減・・・ 会社の負担分が低くなる
(3)モチベーションの向上・・・家族も含め忠誠心と士気が上がる
(4)リクルート効果・・・ 人材採用が有利になる
(5)イメージアップ・・・ブランドおよび企業価値が上がる

 

そして2015年から「健康経営銘柄」(上場企業、25業種、各1社)を毎年選定して表彰。さらに2017年から「健康経営優良法人ーホワイト500」認定制度をスタートさせ、2018年は大企業541社、中小企業776社が認定されました。

  

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経産省が「健康経営銘柄」「健康経営優良法人ーホワイト500」といった制度を作ってまで健康経営を押し進めるのには理由があります。

 

1.このままでは国が持たない
2025年に国民医療費は現在の40兆円から60兆円に、介護費は医療費を上回るペースで膨れ上がって21兆円に。国家存亡の危機に対して、経産省も立ち上がる。

 

2.糖尿病に使う医療費が目立つ
年間医療費は60代後半から急激に増える。男性の場合、70代前半70万円、70代後半80万円、80代前半100万円に。とりわけ糖尿病の投薬40万円と人工透析580万円を何とかしたい。

 (※このうち自己負担は70歳から2割、75歳から1割。人工透析は月額1万円)

 

3.現役のうちから予防に取組む

15年・20年かけてなった人工透析の状態や認知症は治療しても健康体に戻せない。15年・20年遡って、40代・50代から病気の芽を摘んで予防するしか方法はない。

 

45歳を超えたあたりから、「隠れ高血糖」状態の人が増えます。健診は空腹時血糖値ですが、肝心なのは食後血糖値。男性も女性も、下っ腹だけがポッコリ出てくると危険信号。将来、人工透析や認知症になる芽が出始めているのです。

 

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そして経産省は、あらゆる業界に対して、予防を学び実践するヘルスケア事業の立ち上げを呼びかけています。例えば、予防の知識を学ぶ研修事業、予防に資する農産物の生産・活用、血糖値を抑制する天然サプリメントの開発・普及、ヘルスツーリズムの企画・実行です。

 

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ヘルスケア事業創出を突破口として4つの壁を壊し、生涯現役社会を目指します。

 

(1)身体の壁…健康寿命(男性71歳/女性74歳)を20年伸ばしていく
(2)価値観の壁…新しい時代(人生100年、AI、グローバル)に対応する
(3)選択肢の壁…労働市場を多様化して職業寿命(65歳)を10年伸ばす
(4)
情報の壁…正しい情報や知識を知って掴んで活かせるようにする

 

経産省の意向を受け入れ、当社もヘルスケア事業創出に取組んでいます。

■異次元の超高齢社会を生き抜く

100歳以上が7万人を超え、80歳以上が1000万人を超えました。そして65歳以上が3500万人を超えました。高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は27.9%となり世界一、4人に1人高齢者という異次元の超高齢社会に日本は突入しています。

 

国連の定義では、高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」とされます。

 

下の図のように、1950年には5%に満たない若い国でしたが、大阪万博が開催された1970年に高齢化社会に、1994年に高齢社会に、そして21世紀に入ってあっという間に超高齢社会に成りあがってしまいました。

 

これからも100歳人生に向かって寿命は伸びる一方で、その反面、総人口は2008年をピークに下がっていて、そのため高齢化率はどんどん上がっていきます。

 

そうして、3人に1人が高齢者という事態が迫っているのですが、それを5人に1人以下(20%以下)に抑えないと、どだい国は成り立っていきません。

 

つまり、これから日本という国が生き残っていくためには、高齢者を “再定義” しなければならない。65歳以上が高齢者なんて、もはや時代遅れなのです。

 

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高齢者を65歳以上から「75歳以上」に再定義する。それに伴って、労働力もこれまでの15歳から64歳までから、「18歳から74歳まで」に再定義する。

 

世界に先駆けて、定義を変え、高齢化に対するソリューションを生み出していく。それを世界に向けて発信していけば、「高齢化ソリューション国」日本というポジションを取ることができます。

 

そして、この流れは変わらないと思うのです。そのため私たちは、これを少し先取りして、「75歳になるまで働き、20年の晩年を謳歌して、95歳までは生きる」ことを前提に、人生設計の作り替えを急ぐことが賢明なのです。

 

ところで、33年後の2050年、あなたは何歳でしょうか?

●団塊ジュニア世代がすべて75歳以上となり、高齢者の仲間入りをします。

●現在48歳であれば80歳になりますが、80歳以上の仲間は1607万人、そして68歳は100歳になりますが、100歳以上の仲間は53万人もいます。

 

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2050年に私は95歳になりますが、オヤジの死んだ年齢を1年上回る、この95歳までは生きると勝手に思っています。

 

ところが周りには、「えっ、そんなに生きるつもりなの?」と驚き、「自分は80歳まで生きれば十分だ」とか「人生70年、太く短くでいい」と言う人がいますが、そうはいかないと思うのです。人間そう簡単には死なないし、死なせてもくれません。

 

時代認識と寿命認識を持ち、その上で、これからの時代を生き抜いていくための能力をつけていかなくてはなりません。

 

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いかがでしょうか。立ちくらみが起こるほどの大変な能力が求められているのです。国も生き残っていくため社会を作り替えようとしていますが、それは私たち個々人も同じで、もうやるっきゃないのです。ここは、本来の好奇心とチャレンジ精神を発揮し、底力を発揮するときだと思います。

■求められる能力が大きく変わる

2020年から大学入試制度が大きく変わります。未来を見据えて、教育の大改革が始まるのですが、既にそれを先取りしたような入試問題を出した大学もあります。

 

例えば、「宇宙人に、地球が国単位で暮らす理由を説明せよ」という小論文です。答えることができますか? 国とは何かという定義を知っていて、そのうえで人間の集団性や社会性についての本質を考える力がなければ答えられないでしょう。

 

他には、「もし、地球が東から西に自転していたとしたら、世界は現状とどのように異なっていたと考えられるか、いくつかの観点から考察せよ」という入試問題も。西から東へという自転の“定義”をひっくり返した設問です。

 

このように、学校の授業で習った知識をそのまま再現するだけでは対応できないような問題が、2020年の大学入試から出題されるようになるのです。

 

それは中学校にも波及し、「ドラえもんが生物と言えないのはなぜか?」という入試問題が出されました。一つの解答例は、「生物の前提は子孫を残せることなので生殖機能のないドラえもんは生物とは言えない」、というものです。単純に、「ロボットだから」では不十分なのです。

 

大学入試制度が変わる背景にあるのは、「教育そのものの変革」の必要性です。

 

 

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設問の□を埋めてみてください。どうですか? 設問(1)「107」、設問(2)「18」です。

 

人生100年に向かうだけでなく、22世紀に届くのですから驚きです。「百歳時代なんて未来の話でしょ」とのん気なことは言ってられません。この現実に真っ向から向き合っていかなければ、子供世代の足を引っ張る存在になってしまいます。

 

人生100年を視野に入れると、私たちの上の世代が築いてきた「20年学ぶ、40年働く、20年の老後」という人生80年モデルはもはや時代遅れの産物です。

 

これからどんな社会になっていくのでしょうか? AI(人工知能)がどんどん進化して、社会のあらゆる分野に進出していることは間違いありません。現在ある職業の相当数がAIに取って代わられる、とも言われています。

 

グローバル化もますます進み、国籍や民族、宗教や慣習などバックボーンが異なる人たちが、多様性を認め合い、それぞれの強みを主体的に生かしながら、協働・連携・競争していく社会になっているでしょう。働く場は国外も当たり前です。

 

国内では少子化による現役減少、高齢者の高齢化による長生きリスク、社会保障費の膨張、国の借金、国防の危機、地震や災害の対策など、現在山積している問題が深刻化していきます。どれも正解がないか、正解が一つではない問題です。

 

求められるのは、社会がどう変わろうと生き抜ける資質・能力です。そのためにも、人間だからこそ持ち得る「思考力・判断力・表現力」と「主体性・多様性・協働性」を学ばなければなりません。それがあっての楽観と自信が社会を明るくします。

 

こういった時代背景や問題意識を持って、教育の大改革が始まります。

 

 

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「学力」が再定義され、「学力が高い」という意味にパラダイムシフトが起こります。

 

従来の「第一の学力」(より多く覚えてより早く解く、より多くの技能を体得する)に、「第二の学力」と「第三の学力」を加え、三つ揃った人が「学力が高い人」です。

 

第二の学力=正解がないか正解が一つではない問題を解決する思考力・判断力、それを言葉や文章にする表現力、見出した最適解を正解にしていく自信と勇気
第三の学力=自分のやりたいことで社会の役に立つ主体性、他者を受容する多様性、共感しながら成果を挙げる協働性

 

では私たち大人世代はどうすればいいのか? 子供たちに先行して、三つの学力を学び直すことです。知識・スキルの刷新。自立自尊力の蘇生。受容力と共感力を磨く。人生シナリオの描き方、自分の人生は自分で決めることを新たに学びます。

 

私たち大人世代には、学び直しで自ら変革し、子供世代のコーチ役やメンター役になる責務があります。それを生業とする私たち同世代の教師は尚更です。