【3・11】後の、危機に強い「ワ...

【3・11】を契機として、リスク管理への関心が高まっています。そして、危機に強い「ワークライフバランス」が求められています。


前回は、【3・11】後の、危機に強い「ダイバーシティ」を考えました。
●「ダイバーシティ」の目的は、組織・チームのメンバー個々人の「多様性」を生かして、ビジネス環境の大きな変化や、「経済災害」、「社会災害」にも対応できる「多様性のある組織・チーム」を作ることである。


●男性と女性を対立軸で捉えて、いかに「女性活用」するかという表層的な対応や、女性を採用して、「人数合わせ」をすればいいとい表面的な解釈では、「多様性のある組織・チーム」は到底作れない
。今までの経験や常識が通用しない、複雑で多様な時代に、「男性・女性の二項対立」の単式簿記の考え方から脱却しなければいけない。


●【3・11】後の、先進企業のリーダーには、組織・チームのメンバーの誰しもが皆、生来持っている(いまだ潜在している)「異質性」や「異能性」を引き出し、意見の対立や人と人の衝突の中から、対立と衝突の解消策を模索し、解決への道へと導き、最終的に全メンバーの協力と能力を最大限に引き出せることが、求められている。

 

「ワークライフバランス」とは、「仕事と生活の調和」のことです。
人口減少・超高齢化社会がこれから加速しますので、例えば、「年金支給年齢の引き上げと支給額の引き下げ」を「小出し」にされながら、最終的には「受給年齢の大幅な引き上げと受給額の引き下げ」に至るという「社会災害」が必ず起こります。

 

では、これからの時代に於いて、どうすれば「仕事と生活の調和」が図れるのでしょうか?それは、私たち一人ひとりが、持続性のある「働き方・生き方」をすることに尽きると思います。目標は「健康長寿・生涯現役」です。

 

ところが、持続性のある「働き方・生き方」を阻む難儀な存在があります。
「生活習慣病」です。その代表格が「ガン」です。今や、2人に1人がガンに罹る「ガンの時代」です。


「患者を生きる・ガンと就労」というコラムが朝日新聞に連載され、職場で話題となっていますが、隣の人がガンで離職することは、もはや想定外ではありません。誰しもに「起こり得る」のです。現実に、「治療」と「就労」の折り合いの付け方に悩んでいるビジネスパーソンが増えています。
 

また、両親や配偶者の介護を機に退職・転職する人は、過去5年で1・6倍に増え、15万人に達していると言われます。これから益々増えるでしょう。

 

こうした「リスク」(=「危機」)への対応が求められます。大事なことは、いかにリスクを「軽減」するかという発想から、リスク「ゼロ」を目指すにはどうすればいいかという発想に転換することです。
そのためには、「生活習慣病」の本質を知ることが大事です。

 

ガン、糖尿病、メタボ、うつ、アトピーなど、今、流行りの「生活習慣病」は、読んで字の如く、自分の「生活習慣」が作った慢性疾患です。つまり、自分の「食習慣・運動習慣・思考習慣」という習慣が時間を掛けて作った「自己疾患」です。自分が当事者の『人災』なのです。

 

また、ストレス社会や環境汚染など、人間の社会が引き起こした『人災』でもあります。
この「環境」には、自然環境だけでなく、「社会環境」・「職場環境」・「体内環境」があります。
職場環境に汚染されて、「うつ」(=「生活習慣病」)を患うケースも増えています。そして、その「被害者」もしくは「加害者」になることは、誰しもに「起こり得る」のです。難儀な問題です。

 

【3・11】後は、「リスク管理の時代」(=「災害を予防する時代」)であり、「共生の時代」(=「皆が支えあう時代」)です。
私たち一人ひとりの持続性のある「働き方・生き方」を脅かし、且つ、社会保障制度の根幹を揺るがす、「生活習慣病」という『人災』の予防に取る組む時代です。自分が遭うことも、周りの人を遭わすことも、許してはいけません。

 

「病気にならない」(=予防の重要性、「自助」)、「未病のうちに手当てする」(=初期行動の重要性)、「周りの人を病気にさせない」(=支え合いの重要性、「共助」)が大事です。

でも、「生活習慣病」に罹った人を、「あなたはリスク管理と自己管理が欠如している人です」と揶揄したり、そういう目で見たりしては、決していけません。
その人の「兆候」に気づけば、すぐに指摘してさしあげることです。お互い様ですから。

 

【3・11】後を生きる私たちには、「社内」・「自分」・「家族」だけを対象とする「内向き・下向き・後ろ向きな姿勢」から脱皮して、「社外」・「他者」・「地域社会」をも対象とする「外向き・上向き・前向きな姿勢」が求められます。

 

 【3・11】後では、「健康こそ人生最大の財産」です。「健康長寿・生涯現役」であれば、「社会災害」(年金だけでなく、医療・介護の自己負担率の大幅アップ)や「経済災害」(国債暴落、ハイパーインフレ)が起こっても、なんとか生き抜いていけます。


「ワークライフバランス」の本質は、持続性のある「働き方・生き方」をすることです。
そのためには、『人災』の芽を摘んで、【3・11】後の、危機に強い「ワークライフバランス」を身に付けることが求められます。

 

そうしなければ、【3・11】の被害者の人たちに、申し開きできません。

 

【3・11】後の、危機に強い「ダ...

「ダイバーシティ」とは、本来、企業で、「属性」(性別、年齢、人種・国籍、雇用形態、障害の有無)を問わずに人材活用することです。一言でいえば、「職場の多様性」です。
今は、ビジネス環境が大きく変化している時代です。そんな激しい変化に、柔軟・迅速に対応するためには、いろいろな面で多様な人たちを活用して、組織やチームのパフォーマンスを高めることが必要です。

 

人の「多様性」を競争優位の源泉として生かす。そのためには、「異質・異能な人」を積極的に受け入れよう、取り込もうということです。つまり、時代の転換期が求める、組織・チームの目指す姿です。


日本人の習性からすれば、「異質・異能な人」なんて、一番避けたい「種族」(狩猟族、海賊、首狩り族?)でしょうが・・・。こんな大変な時代ですから仕方ないと思うことはありません。人は誰しも、「異質性」や「異能性」を持っているものです。それに気づいていない、まだ開発されていない、いまだ見出されていないだけなのですから。

 

ところで、これまでの日本企業の優位性は、「質が揃った労働力の集団力」でした。つまり、同質の人間を多数集めて、一定の方向にその集団の力を発揮させることで、競争優位を保ってきたのです。

 

ところが、【3・11】後に、競争優位と言われてきた、そんな同質集団の「脆弱さ」が露呈しました。
組織の判断を待つ受身の社員が圧倒的多数であるため、不測の事態(想定外の事態、経験のない事態)に柔軟・迅速に対応できない、ということが判明したのです。右往左往するばかりか、何もせずに台風一過を待つかり。ともかく、危機対応の面では、まったく遅れをとってしまうし、使い物にならない。

 

先行き不透明な時代ですから、同質集団のある面での「弱さ」は指摘されていたのですが、肝心な場面で、ここまで「脆くて弱い」とは思わなかった、ということです。あちこちで、嘆きの声、落胆のため息が聞こえます。

 

そこで、【3・11】後の先進企業とは、「多様な人材が活躍する、多様性の高い企業」、「社員が主体性を持って機敏に判断し、行動する企業」だと定義されています。
今のままでは、これから起こりえる、ビジネス環境の大変化や、不測の「経済災害」や「社会災害」には対応できないという危機意識から、「ダイバーシティ」(=職場の多様性)を見直す動きが出ています。

 

反省点は、
●これまでは女性や外国人や障がい者を雇用することで、社員の構成を性別や人種や障害の有無の点で多様化することに留まっていた。男性や日本人や健常者と同様に扱うことばかりに目が向き、とかく男女間や人種間や健常者・障がい者間の格差是正に取り組みが集中していた。端的にいえば、「人数合わせ」に終始していた。


●目に見える形を真似して整える習い性のため、「人数さえ合えば何とかなる」という考えが根底にある。そのため女性でも外国人でも、採用した後には、組織の風土(男性優位の職場社会や日本流)を身につけることを、半ば無意識に求め、同化させるように促してきた。
冷静に考えてみると、表面的な格差の是正や表層的な公平性の実現にばかり注力していた。


●争いを起こすことが嫌なので、「対立」や「衝突」を恐れ、また、何が根本問題なのかを考えたり、何がその本質なのかを考えることが厭なので、本音の議論や本質論を戦わせてこなかった。
冷静に考えてみると、「変革」を引き起こすような、前向きで情けある「対立」や「衝突」、破壊と建設を併せ持った「議論」を避けてきた。多様な人材をせっかく採用しても、「プラスの面」を生かすことができず、「異質性」や「異能性」を押し込めてきた。

 

●海外では、ノルウェーのように、国際競争で自国が勝ち残るためには、女性の視点と活力が不可欠だと真剣に考え、上場企業は女性役員の比率を40%以上とすべし、しなければ上場廃止と、法律で定め、実行した。2006年制定前の6%から、今では44%に。

 

リスク管理力、人事・労務管理のきめ細やかさ、女性視点での企画開発力、男性社員の働き方・生き方への多様性が格段に高まったようだ。
現場から沸き起こる「制度導入」が、女性社員の多様性を引き出し、男性社員の多様化をも促したことに、もっと目を向けるべきだ。
こんな「制度導入」は北欧の国の話と決めつけてはいけない。マレーシアなどアジアでも、ノルウェーに続く国が出てきている。

 

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「女性の活用」という観点から、卑近な例で言えば、営業部門では、なぜ女性社員が根付かないのか、育児休暇後の復帰がうまくいかないのか。その根本原因は何か。この際、「日本特有の営業スタイル」をゼロベースで見直すことも必要です。自社(こちら側)だけでなく、取引先(相手側)の「仕事の仕方」や「働き方」を一から検証することが必要な時期に来ています。
男性社員が、職場だけでなく、家庭や地域社会での存在感を増すことに喜びを見出すきっかけになるかもしれません。

 

【3・11】後を生きる消費者の「倫理・規範」は大きく転換しています。企業に対して、「社会性」や「健全性」を求めます。社員が持続性のある「働き方・生き方」をしている企業を支持します。その意識は益々強まるでしょう。
同業他社に先駆けて、考えて動くことです。その方向に向けて、できることから「制度導入」を実行することは、とても戦略的です。

 

これからの先進企業のリーダーは、多様な人たちの多様性(特に、「異質性」や「異能性」の面)を引き出し、生かしていくことが求められます。
意見の対立や人と人の衝突の中から、個々人のスキル(仕事推進力、企画発案力、コミュニケーション力、伝える力、バランス感覚、持続的な健康力)、考え方、視点、組織貢献性、社会貢献性、志、倫理・規範をしっかり見て、当人を生かし切る。
最終的には、この対立や衝突は解消され、組織メンバーの協力と能力が最大限に引き出される。そんな組織・チームの景色を作りあげるのです。
 

それに加えて、「ダイバーシティ」を進化・深化・新化させるためにも、現場から、過去の慣習や思い込みに囚われることなく、あらゆる面で、「ダイバーシティ」を阻む「真の問題点とその根本解決策」を洗い出す。そして、根本解決策を実行するために必要不可欠な「制度設計」を進言する。これも、先進企業のリーダーにとって重要な仕事です。

 

【まとめ】

 

【3・11】後の、危機に強い「ダイバーシティ」を達成するための3つのポイント

 
(1)ダイバーシティの目的は「変化に強い組織作り」である。
 

【3・11】後の先進企業は、ダイバーシティの取り組みを「経営戦略」と位置付け、時代の転換期に於ける消費者の価値感の変化や、多種多様なタイプの消費者に対する対応力を高めるための「企業の競争力の源泉」と捉える。
女性・障がい者・外国人などの多様な人材の活用だけでなく、自社の人材が生来持っている異質性や異能性を見出すことにも注力し、全ての人材の潜在能力を引き出すことに目を向ける活動を行いながら、ダイバーシティを「攻めの戦略の一環」と位置付ける。

 
(2) 女性の数を増やすことだけがダイバーシティ推進活動ではない。
 
多くの企業では、「女性管理職比率を3割に増やす」とか「新卒女性の割合を5割にする」といった数値目標を設定し、それを達成することをダイバーシティ推進の目的とするが、これは本来のダイバーシティ推進の意味を取り違えた考え方である。
本来ダイバーシティが目指すのは「様々な違いを受け入れて、企業価値として生かす」ことである。単に数を増やしても「企業競争力の源泉」には到底ならない。

また、「ダイバーシティ推進」と聞くと、「我が営業部には女性や外国人はいないので、関係ない」という声が出るが、ダイバーシティにはもっと広い意味がある。組織の中には、性差だけでなく、世代の差、中途採用者と永続勤務者、合併企業の旧社間の企業文化差、雇用形態の差などの様々な多様性が存在する。
 
【ポスト3・11社会】を生き抜くためには、企業として、社員一人ひとりの「倫理と規範の差」と「働き方と生き方の差」をいかに「あるべき姿」へと収斂していくかが問われる。
【3・11】後の消費者は企業の公益性や地域貢献性、社員の倫理・規範や「働き方と生き方」を評価する度合いが益々高まる。
 
(3)ダイバーシティ成功のためには、意識変革の重要性に気づくイベント・セミナーが必要である。
 
ダイバーシティ推進は全てのビジネスパーソンに関わる自分自身の課題であることを、社内に浸透させる必要がある。 これまで変化や多様性に無関係だった人たちや、どちらかというとそれを避けてきた人たちにこそ、「意識改革」が求められる。たとえ変化を感じても自分の体験や従来の常識が頭から離れない人たち、変化に対する確信が持てないため意識変革の入口に留まっている人たち、そんな人たちが変われば、会社は大きく変わる。

しかし現実には、これほど重要な活動であるにも関わらず、これまで重要プロジェクトや変革プロジェクトに携わったことがない女性社員が集められ、推進役を任されるのが、多くの企業の実態である。本来、事務局や推進チームそのものが、多種・多様なメンバーで構成され、必要な権限を与えられ、活動のサポートを周囲や外部から得ることが、ダイバーシティ推進には最低限必要である。
 
ダイバーシティ推進を「全社的変革活動」として、本来の目的を達成するためには、「ダイバーシティを自分事として受け留め・受け入れる」ためのイベント・セミナーや、「違いを生かすためのスキル開発」のためのイベント・セミナーが必須である。
 
 

イチローから学ぶ

イチロー選手を入団1年目から身体面でメンテナンスしてきた、元オリックス球団チーフトレーナーの松元(まつもと)隆司(たかし)さん(阪急ブレーブス→オリックスブレーブス→オリックスブルーウェーブ、日本プロ野球トレーナーOB協会元会長)は私の仲間の一人です。

今は、多忙なビジネスパーソンのための体の整え方が出来る若手人材を育てるべく、専門学校で運動工学に基づいた整体やスポーツマッサージを教えています。

 

松元さんから聞いた話の中で、私の心に響いた「イチローの3つの逸話」を披露します。

 

1.イチローのドラフト指名はオリックス球団だけだった。当時の故三輪(みわ)()勝利(かつとし)スカウトが4位指名したのです。1998年に、「ドラフト改革の逆指名制度はナンセンスだ」という走り書きを残して、沖縄市内のビルから飛び降りた三輪田さんです。その死を知ったイチローは、人目も憚らず号泣し、告別式では棺に自身愛用のバットを納めた。

 

渡米してからも、帰国するたびに、神戸湾が見渡せる三輪田さんの墓参りを欠かさない。

「三輪田さんのお陰でプロになれた、私ことイチローは今シーズンも無事に終えることができました」と唱えて、手を合わせる。

 

2.イチローは、高2の春に、自転車ごとライトバンに跳ねられて、速い球が投げられなくなった。やむを得ず、ピッチャーから外野手に転向したという経緯があります。

「もしも、この事故がなかったら、オリックスからもドラフト指名を受けなかっただろう。高2の当時は、ものすごく悔やんだ。でも結果的に、打者でプロを目指すきっかけとなり、プロになれた。それは事故のお陰です」。

 

3.松元さんはオリックス時代に毎シーズンオフ、兵庫県の肢体不自由児の施設に、若手選手を連れて行き、施設の若者と対抗試合と野球教室を行っていました。オリックスの選手は怪我をさせては大変だと、体が不自由な児童たちに合わせて、緩い球を投げ、軽く打ち、ゆっくり走った。

 

ところが、「プロってこんなものか」と言う児童の声が、当時1年目の鈴木一郎の耳に聞こえた。次打席で、彼は火の出るような弾丸ライナーを打った。猛スピードで走り、ランニングホームランにした。

 

試合後、「プロって凄い!!打球は速いし、あんなに速く走れるなんて!!」と言う、児童たちの顔は輝いていた。鈴木一郎の顔も同様に輝いていた。

 

松元さんはこう言います。「翌年、鈴木一郎は、登録ネームを“イチロー”に変更した。

イチロー誕生のきっかけは、その時の試合だ」……。

 

さらに、続けて言います。

「イチローは誰よりも早くに球場に来て、誰よりも遅く球場から出る。それは、誰よりも準備運動に長い時間をかけ、試合後は、バットとグラブとスパイクをしっかり磨いてから球場をあとにするからだ」

「イチローは自身の体を整え、作り込んでいく、自分独自の練習メニューにこだわる。飽きることなく、同じことを毎日毎日、何度も何度も繰り返す」

「野球は10回打席に立って、そのうち7回失敗しても、一流打者と称賛される“失敗の競技”だ」

「しかし、3割打者という一流の成果を、連続して何年間も残し続ける。怪我や障害を未然に防いで、長期間の現役生活を送れる。そんな選手は極めて数少ない」

 

松元さんは、神戸から時折上京し、夕刻に来社されます。その際には、いつも持参している、関西テレビから取材撮影を受けた当時のビデオを、私たちに見せて、ビールをぐいぐい飲みながら、様々なことを述懐されるのです。