【3・11】後の、危機に強い「ダ...
「ダイバーシティ」とは、本来、企業で、「属性」(性別、年齢、人種・国籍、雇用形態、障害の有無)を問わずに人材活用することです。一言でいえば、「職場の多様性」です。
今は、ビジネス環境が大きく変化している時代です。そんな激しい変化に、柔軟・迅速に対応するためには、いろいろな面で多様な人たちを活用して、組織やチームのパフォーマンスを高めることが必要です。
人の「多様性」を競争優位の源泉として生かす。そのためには、「異質・異能な人」を積極的に受け入れよう、取り込もうということです。つまり、時代の転換期が求める、組織・チームの目指す姿です。
日本人の習性からすれば、「異質・異能な人」なんて、一番避けたい「種族」(狩猟族、海賊、首狩り族?)でしょうが・・・。こんな大変な時代ですから仕方ないと思うことはありません。人は誰しも、「異質性」や「異能性」を持っているものです。それに気づいていない、まだ開発されていない、いまだ見出されていないだけなのですから。
ところで、これまでの日本企業の優位性は、「質が揃った労働力の集団力」でした。つまり、同質の人間を多数集めて、一定の方向にその集団の力を発揮させることで、競争優位を保ってきたのです。
ところが、【3・11】後に、競争優位と言われてきた、そんな同質集団の「脆弱さ」が露呈しました。
組織の判断を待つ受身の社員が圧倒的多数であるため、不測の事態(想定外の事態、経験のない事態)に柔軟・迅速に対応できない、ということが判明したのです。右往左往するばかりか、何もせずに台風一過を待つかり。ともかく、危機対応の面では、まったく遅れをとってしまうし、使い物にならない。
先行き不透明な時代ですから、同質集団のある面での「弱さ」は指摘されていたのですが、肝心な場面で、ここまで「脆くて弱い」とは思わなかった、ということです。あちこちで、嘆きの声、落胆のため息が聞こえます。
そこで、【3・11】後の先進企業とは、「多様な人材が活躍する、多様性の高い企業」、「社員が主体性を持って機敏に判断し、行動する企業」だと定義されています。
今のままでは、これから起こりえる、ビジネス環境の大変化や、不測の「経済災害」や「社会災害」には対応できないという危機意識から、「ダイバーシティ」(=職場の多様性)を見直す動きが出ています。
反省点は、
●これまでは女性や外国人や障がい者を雇用することで、社員の構成を性別や人種や障害の有無の点で多様化することに留まっていた。男性や日本人や健常者と同様に扱うことばかりに目が向き、とかく男女間や人種間や健常者・障がい者間の格差是正に取り組みが集中していた。端的にいえば、「人数合わせ」に終始していた。
●目に見える形を真似して整える習い性のため、「人数さえ合えば何とかなる」という考えが根底にある。そのため女性でも外国人でも、採用した後には、組織の風土(男性優位の職場社会や日本流)を身につけることを、半ば無意識に求め、同化させるように促してきた。
冷静に考えてみると、表面的な格差の是正や表層的な公平性の実現にばかり注力していた。
●争いを起こすことが嫌なので、「対立」や「衝突」を恐れ、また、何が根本問題なのかを考えたり、何がその本質なのかを考えることが厭なので、本音の議論や本質論を戦わせてこなかった。
冷静に考えてみると、「変革」を引き起こすような、前向きで情けある「対立」や「衝突」、破壊と建設を併せ持った「議論」を避けてきた。多様な人材をせっかく採用しても、「プラスの面」を生かすことができず、「異質性」や「異能性」を押し込めてきた。
●海外では、ノルウェーのように、国際競争で自国が勝ち残るためには、女性の視点と活力が不可欠だと真剣に考え、上場企業は女性役員の比率を40%以上とすべし、しなければ上場廃止と、法律で定め、実行した。2006年制定前の6%から、今では44%に。
リスク管理力、人事・労務管理のきめ細やかさ、女性視点での企画開発力、男性社員の働き方・生き方への多様性が格段に高まったようだ。
現場から沸き起こる「制度導入」が、女性社員の多様性を引き出し、男性社員の多様化をも促したことに、もっと目を向けるべきだ。
こんな「制度導入」は北欧の国の話と決めつけてはいけない。マレーシアなどアジアでも、ノルウェーに続く国が出てきている。
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「女性の活用」という観点から、卑近な例で言えば、営業部門では、なぜ女性社員が根付かないのか、育児休暇後の復帰がうまくいかないのか。その根本原因は何か。この際、「日本特有の営業スタイル」をゼロベースで見直すことも必要です。自社(こちら側)だけでなく、取引先(相手側)の「仕事の仕方」や「働き方」を一から検証することが必要な時期に来ています。
男性社員が、職場だけでなく、家庭や地域社会での存在感を増すことに喜びを見出すきっかけになるかもしれません。
【3・11】後を生きる消費者の「倫理・規範」は大きく転換しています。企業に対して、「社会性」や「健全性」を求めます。社員が持続性のある「働き方・生き方」をしている企業を支持します。その意識は益々強まるでしょう。
同業他社に先駆けて、考えて動くことです。その方向に向けて、できることから「制度導入」を実行することは、とても戦略的です。
これからの先進企業のリーダーは、多様な人たちの多様性(特に、「異質性」や「異能性」の面)を引き出し、生かしていくことが求められます。
意見の対立や人と人の衝突の中から、個々人のスキル(仕事推進力、企画発案力、コミュニケーション力、伝える力、バランス感覚、持続的な健康力)、考え方、視点、組織貢献性、社会貢献性、志、倫理・規範をしっかり見て、当人を生かし切る。
最終的には、この対立や衝突は解消され、組織メンバーの協力と能力が最大限に引き出される。そんな組織・チームの景色を作りあげるのです。
それに加えて、「ダイバーシティ」を進化・深化・新化させるためにも、現場から、過去の慣習や思い込みに囚われることなく、あらゆる面で、「ダイバーシティ」を阻む「真の問題点とその根本解決策」を洗い出す。そして、根本解決策を実行するために必要不可欠な「制度設計」を進言する。これも、先進企業のリーダーにとって重要な仕事です。
【まとめ】
【3・11】後の、危機に強い「ダイバーシティ」を達成するための3つのポイント
【3・11】後の先進企業は、ダイバーシティの取り組みを「経営戦略」と位置付け、時代の転換期に於ける消費者の価値感の変化や、多種多様なタイプの消費者に対する対応力を高めるための「企業の競争力の源泉」と捉える。
女性・障がい者・外国人などの多様な人材の活用だけでなく、自社の人材が生来持っている異質性や異能性を見出すことにも注力し、全ての人材の潜在能力を引き出すことに目を向ける活動を行いながら、ダイバーシティを「攻めの戦略の一環」と位置付ける。
【3・11】後の消費者は企業の公益性や地域貢献性、社員の倫理・規範や「働き方と生き方」を評価する度合いが益々高まる。
しかし現実には、これほど重要な活動であるにも関わらず、これまで重要プロジェクトや変革プロジェクトに携わったことがない女性社員が集められ、推進役を任されるのが、多くの企業の実態である。本来、事務局や推進チームそのものが、多種・多様なメンバーで構成され、必要な権限を与えられ、活動のサポートを周囲や外部から得ることが、ダイバーシティ推進には最低限必要である。

