お通夜の席で

 先日、長く付き合った友人が亡くなりました。

小さいけれど、自分で会社をやっていた人だったので、仕事関係の参列者が圧倒的に多いお通夜でした。

担当した葬儀社も、参列者が多いことを想定しての段取りだったのかとは思いますが、読経が始まるといきなり葬儀社スタッフの指示で参列者の焼香がはじまり、ほぼ5分後にはお清めの席に案内されていました。

当然、スピーディにお焼香を終えた参列者は、どんどんお清めの席に溜まっていきます。

その中で、配膳スタッフがお客様を押しのけるようにして、必死の表情で片付け、新しい席を作っています。

追い立てられるようにして式場を後にしたのは、閉式約15分後で、急逝した友人の死を悼んでいる余裕もない状態でした。

多くの参列者が、どこか次の席(お店)に落ち着いて、思い出話のひとつもするのでしょうが、それにしても、なんとも落ち着かないお通夜でした。

考えてみれば、お通夜はいつの間にこんな簡略化された儀式になってしまったのでしょうか?

ご遺族にお悔やみのひと言も言えず、とても心残りなお通夜でした。





 

 

 

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↑ フヨウの花






 

 

 

 

 

歌舞伎座のサービス精神

 リニューアルオープンした歌舞伎座に行ってみました。
お芝居のチケットは持っていなかったのですが、まずは施設のウォッチングです。

といっても、劇場の内部には入れませんので、見られるのは地下の着木挽町広場と5Fの歌舞伎ギャラリーです。

木挽町広場は、以前は劇場内にあったようなショッピングスペースが、地下鉄の出口から直結のオープンスペースとなっており、歌舞伎を見ないお客様も雰囲気を楽しんで買い物ができる場所になっています。


  

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地下鉄の出口から直結の「木挽町広場」

 



特徴は、歌舞伎座の雰囲気を大事にしながらも、好きな飲み物などを用意して観劇をしたいお客様のためにコンビニがあることです。

お芝居を見る前にお弁当を買う人、和雑貨や老舗の和菓子を買い求めるのが目的の人と、さまざまなお客様がいらっしゃいますが、私のように、「何となく覗きに来てみた」という人も多いようでした。

20分程度、列に並んで大型エレベーターで5Fに上がり、ギャラリーに入場してみました。

展示内容は期待以上のものではありませんでしたが、映像による新しい劇場内部の案内、屋上庭園から4Fに降りる五右衛門階段が見所でしょうか。

私が一番素晴らしいと感じたのは、ギャラリーの動線に、劇場内を直に見学できるブースが用意されている事です。

黒の二重カーテンで仕切られ、前面はガラス張りのブースですが、今、上演されている芝居、客席の様子が1分間だけ見学できます。

ギャラリーの出口で希望者に見学予約券を配布しており、ブースの出入りにはスタッフが2名付いて、お客様を丁寧に案内しています。

当然、構造的にこの建物を設計する段階から組み込まれていたはずで、「これぞ、歌舞伎座のサービス精神!」と感じました。

それと同時に、見た人に「次回は絶対、お芝居を観に来るぞ!」と100%思わせる、すごい集客の仕掛けだと思いました。

ただし、この見学予約券は常に配布されている訳ではなく、お客様が混雑している時などには配布していないのが残念ですが。

 

 



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正面の印象はほとんど変わりません。

 

 

 

 

親しき仲にも

 そこそこの年になると、「行きつけの店」というのができてきます。

よく食事に行く店、お気に入りの洋服屋さん、いつもの美容院など、誰にでも何軒かはあると思います。

お店のスタッフが自分の顔を憶えてくれたり、名前を呼んでくれたり、親しく言葉を掛けてくれたりすると、誰しも悪い気はしません。

しかし、そうなるまでには、何回もお店に通って食事をしたり、買い物をしたりと、それなりにお金も使っているはずです。

そして、これからもお店に通い続けて欲しいと思えばこそ、お店のスタッフも親切にしてくれます。

飲食店なら、お気に入りのメニューやダメな食材をスタッフが憶えている、洋服なら好みの色やデザインを分かっていてくれる、といった状態でしょうか?

この親しみを感じさせつつも、適度な距離感を持った心地よい関係が、ずっと続いてくれると良いのですが、残念ながらなかなかそうはいかない事が多いのです。

お店に通う回数が重なるほどに、この「適度な距離感」が損なわれてしまった経験は、皆さんにもあるのではないでしょうか?

言葉遣いが親しすぎる、というよりは妙に馴れなれしく、時には不快感を抱くようになる。

あるいは、商品の勧め方が徐々に強引さを増してきて、何となく気づまりな雰囲気になるなどです。

このようなお客様の「不快感」に気が付かないままでいると、当然、お客様は次の「心地よいお店」を求めて、そのお店には現れなくなってしまうでしょう。

どんなに長く通ってくれていても、そこに商品とお金が介在するかぎり「お客様はお客様」であって、お友達ではないのです。


 

 


 

0805.jpgグリーンカーテンでおなじみのゴーヤの花