▼「注文をまちがえるレストラン」

 先日、テレビ番組の敬老の日特集のコーナーで見たニュースですが、期間限定で「注文をまちがえるレストラン」というのがオープンしたようです。

まるで宮沢賢治の「注文の多いレストラン」を想像させるネーミングですが、このレストランは文字通り注文を間違える可能性のある、軽度の認知症の方たちがスタッフとして働くレストランでした。
 
実験的な取り組みとして行われたプロジェクトのようでしたが、私が何より心引かれたのは、映像で見たスタッフとお客様達がとてもいい笑顔でコミュニケーションをとっている姿でした。

もちろん、そういう特徴のあるレストランであることを知った上で来てくださっているお客様ばかりだと言うこともありますが、スタッフは楽しそうに仕事をしており、お客様もちょっとドキドキしながら料理が届くのを待ち、料理が間違っていても、間違っていなくても、それをネタにしたスタッフとのコミュニケーションを楽しんでいるようで、見ていてとても温かい気持ちになりました。

もちろんレストランである以上は対価に見合う料理が提供される訳ですが、もしお店の名前のように注文を間違えたとしても、それもかえってお客様が楽しむことができるレストラン。

一般のレストランでは、今のところこうはいきませんが、いずれ来る超高齢化社会においては、ひょっとしたら人が対応するレストランではこれが当たり前の姿になるのかもしれません。
と、いろんなことを想像させてくれるニュースでした。
 
★環境が変われば価値観も変わります。これからは商品を提供するだけでなく、何をもってお客様に楽しんでいただくか?直接、お客様と対面する店舗はもう一度、考えてみていただきたいと思います。
 
20170917-00075847-roupeiro-000-11-view.jpg「えへっ、まちがえちゃった!」と言っているような、お店のロゴマーク
 

▼どんな世代のお客様でも

最近のシニアは、目的に合わせてさまざまなロケーションで買い物を楽しんでいるようです。
 
昔は、シニア女性が自分の外出用の洋服やバッグなどを買うのは百貨店と決まっていました。
ミドル向け婦人服売り場はシニア女性で溢れ、お客様は自分のごひいきのショップで馴染みのスタッフを相手におしゃべりをしながら洋服を選んでいました。
百貨店もそれらのお客様が喜ぶイベントを次々と行い、お客様が来店するきっかけを上手に作っていました。
 
もちろん、今でも百貨店が好きな女性たちは多いですし、立地の便利さは大きな魅力ですが、特に今どきの60代、70代のシニア女性は買い物をするロケーションの選択肢も非常に増えています。
 
新しく都心でオープンしたショッピングモールも、平日の昼間は好奇心旺盛なシニアでいっぱいです。
ブランド店やセレクトショップが並ぶショツビングモールはディスプレイが魅力的で、若い店舗スタッフの接客も新鮮です。
 
若い世代をターゲットにする店舗は、バッグやストールなどの服飾品で、少しトレンドを取り入れたいと考えている、おしゃれなシニアにとって、とても魅力的です。
 
お店に興味を持って入店してくださったお客様を見た目の年齢で判断せず、自店舗の良さをしっかりと伝えてプロの販売スタッフとしての提案をしてみてください。
 
スタッフから丁寧な対応をされたシニアは、自分の気に入ったお店として娘や周囲に喜んで伝えます。きっとお店の良き宣伝部長になってくれますよ。
 
★店舗スタッフは、入店してきたどんな年代のお客様に対しても、一言心に残る言葉を伝えられるようになって欲しいと思います。それがファン増大に繋がります。
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アジサイの「墨田の花火」、隅田川花火大会まであと1か月です。

▼ シニア層にとって魅力的なサービスとは?

 先日、2泊3日の客船クルーズに参加してきました。

 
事前の予想通り、参加者は75歳以上と思われる方々がほとんどで、たまに見かける若い方は祖父母とともにファミリーでの参加、もしくは明らかに視察らしき人達でした。
 
最近、特にシニア層に人気のクルーズですが、JTBの利用者アンケートによると、ツアーに対する感想で「満足」と答えた人は約90%、リピート率は約70% に上るそうです。
 
食事の時に、隣に座ったご夫婦と話をしてみると、もう20回くらいクルーズに参加しているとのこと。
季節や行先によってさまざまなクルーズが企画されているので、「今度は秋に〇〇に行ってみよう」などと、ツアーから帰るとすぐに次のクルーズの計画を立てるそうです。
 
クルーズがシニア層に人気がある理由は、
(1) 移動手段と宿泊施設が一体になっているので、高齢者や身障者などにとっては体力的に楽であること、
(2) イベントプログラムが充実しており、寄港地でのオプショナルツアーに参加しなくても、船内でのクルーズライフが充分楽しめること、
(3) ツアー代金に食事(3食+間食+夜食)の料金も入っているので、食事や喫茶のたびに支払いの面倒がないこと、
など多々ありますが、やはり一番の魅力はスタッフの明るく行き届いたサービスです。
 
ポイントになるところには日本人スタッフが配置されていますが、多くはフィリピンなどの若い外国人スタッフで、接客スタッフは基本的な会話はすべて日本語で行い、全員敬語で話します。
 
すべてのスタッフが常に明るい笑顔で挨拶や声掛けを積極的に行っているので、こちらも自然に笑顔で挨拶を返し、これが非常に心地よいのです。
 
お客様の中にはスタッフと話をしたり、一緒に記念写真を撮るのを楽しみにしている人達も多く見受けられ、これもまたクルーズの楽しみ方の一つのようです。
 
もちろん、クルーズは旅行することが目的ではあります。
しかし、船内のあちこちで見掛けるこのような微笑ましい光景から、この若いスタッフたちの明るくいきいきとした接客こそが、高いリピート率の一番の理由なのではないかと感じました。
 
これはクルーズだけの話ではなく、物販、サービス、飲食などの店舗でも同じことが言えます。
これからますます増えてくるシニア層のお客様が魅力を感じる店舗づくりには、明るくいきいきとした接客が不可欠なようです。